研究概要 |
本研究は内因性ジギタリス用物質(EDLF)の病態検査学的研究の一環である。近年、アルドステロンが腎障害を促進することが明らかになった。今回のアルドステロン有害事象へのEDLF系の改善作用を研究する可能性があるため、そのメカニズムを特異的受容体拮抗薬なども駆使しつつ、アルドステロンの腎障害機構に対する内因性ジギタリスの保護効果を明らかにすることが本研究の目的である。なお、申請者らは、このbufadienolideに属するEDLFのエポキシ形成および解裂、両タイプのEDLFのアミノ酸結合型を保有し、これらを有効利用する。 アルドステロンの近位尿細管細胞アポトーシス惹起機構に対するMBT、MBGおよびTCBおよびアルドステロン受容体拮抗薬の作用については、明確な結論を得るに至っていない。しかし、アルドステロンの腎障害機構に対するEDLFの保護効果を理解する上で重要な、末梢でのEDLF産生において重要な役割を果たす器官である副腎に関して新しい知見を得た。すなわち、MBG,MBTの両者が副腎皮質に同程度存在することを示し,副腎皮質おけるEDLFの産生・分泌機構に両者が関与すること、さらに視床下部にもMBT,MBG両者が存在することが示唆した。また自然発症高血圧ラットにおける内因性ジギタリス様物質、マリノブフォトキシンの動態血圧調節におけるレニン・アンジオテンシン系の関与を明らかにした。さらに、EDLFの産生分泌を制御する中枢、すなわち視床下部の培養細胞系を用い、MBTと免疫原性を同一にするあらたなbufadienolideの存在を明らかにするとともに、さらに内因性のouabain産生とそのアルドステロンによる産生刺激を発見した。
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