研究課題/領域番号 |
21590644
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
杉内 博幸 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (70435163)
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研究分担者 |
松嶋 和美 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (00369125)
安楽 健作 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (80389543)
安東 由喜雄 熊本大学, 大学院・生命科学研究部・病態情報解析学分野, 教授 (20253742)
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キーワード | 脂質 / アポ蛋白E / アポE-rich HDL / コレステロール |
研究概要 |
【目的】脂質異常症の治療薬CETP阻害剤は、アポEを豊富に含み、粒子サイズが大きいアポE-rich HDLを増加させる。今回の研究では、本HDLコレステロール(HDL-C)を含む総HDL-Cを前処理なしで直接測定できる方法を確立し、さらにアポE-rich HDLの生理機能についても検討を加える。 【実施計画】(1)健常人血清からアポE-rich HDLを分離、(2)アポE-rich HDL-C測定の基準法の確立、(3)HDL選択性の高い界面活性剤の抽出、(4)アポE-rich HDL-C直接法の開発の4つのパートからなる。 今回の研究では、CETP欠損及び胆汁うっ滞患者血清から分離したアポE-rich HDLの生理機能(マクロファージ細胞からのコレステロール引き抜き能)と界面活性剤のHDL-C選択性を検討した。 【結果】ヘパリンカラムを用いて、暉遠心分離のHDL画分をカラム吸着性のアポE-rich HDLと非吸着性のアポE-poor HDLとに分離した。次に、活性化したマクロファージ細胞にアセチル化LDLを添加し、CETP欠損及び胆汁うっ滞患者から分離したアポE-rich HDL又はアポE-poor HDLを細胞に添加し、細胞内コレステロールの引き抜き作用を検討した。その結果、コレステロール引き抜き能は、CETP欠損由来では、アポE-rich HDL>アポE-poor HDL、胆汁うっ滞由来ではアポE-rich HDL<アポE-poor HDLという結果が得られた。また、約450種類の界面活性剤のHDL選択性の検討では、カチオン系、ポリアルキレングリコール誘導体で選択性が高く、アポE-rich HDL-Cを含む総HDL-C測定が可能となった。 【考察】胆汁うっ滞由来アポE-poor HDLでは引き抜きが弱かった原因は不明であるが、HDLの連銭形成による構造変化や細胞表面のアポEレセプターの減少により細胞との結合が弱く,コレステロール引き抜きが低下したとも考えられる。直接法については現在至適条件を検討している。
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