研究課題
本研究では既に構築した肥満・メタボリック症候群(MetS)データベースの登録症例数を828例に増加し、ヒト単球採取・機能解析法により、日本人肥満・糖尿病・脂質異常症における(1)単球機能(炎症M1・抗炎症M2マーカー)と既知の心血病(CVD)リスクとの関連、(2)糖尿病薬や高脂血症薬の単球機能改善効果を検討した。1) 肥満・Metsの前・きコホート集団における検討:肥満の末梢血単球では、非肥満に比しM1マーカー(TNFα,IL-6)の発現上昇やM2マーカー(IL-10,CD163)の発現低下、糖尿病例では、非糖尿病例に比しM2マーカーの有意な低下を認めた。脂質異常症では単球中IL-10の低下を認めた。PWVには年齢と低CDI63が独立して関連しており、単球中M1/M2の質的変化が動脈硬化に関与する事が示された(Diabetes Care 33:e7,2010)。2) 糖尿病や高脂血症薬の単球機能改善効果:肥満合併糖尿病においてチアゾリジン誘導体(TZDs)により、糖代謝やPWVの改善と伴に、単球機能改善を認めた(Diabetes Care 33 : e7, 2010)。また、最近高脂血症・エイコサペンタエン酸(EPA)はCVD発症抑制作用が報告されているが、今回肥満症において、EPAの3ヶ月投与により単球中M2マーカー(IL-10)の上昇を認め、PWVの改善に関連していた。更に、THP-1細胞において、EPA投与によるIL-10の発現上昇を認め、その効果は阻害剤やsiRNAの実験より、PPARγを介する可能性が示された(ATVB, submitted)。現在、新規糖尿病薬・インクレチンの単球機能改善作用も検討中である。以上、肥満・糖尿病・MetSにおける単球機能改善を標的とした新規早期動脈硬化進展の検出や心血管病予防・治療戦略の可能性が示唆された。
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