研究課題
本研究では、これまでに構築した肥満・糖尿病・メタボリック症候群(Mets)データベースの登録症例数を1050例に増加させ、ヒト単球の採取とその機能解析により、日本人肥満・糖尿病・脂質異常症における(1)単球機能(炎症M1・抗炎症M2マーカーなど質的異常)と既知の心血管病(CVD)リスクとの関連、(2)糖尿病薬や高脂血症薬の単球機能改善効果を検討した。1)糖尿病薬や高脂血症薬の単球機能改善効果:肥満合併糖尿病においてチアゾリジン誘導体(TZDs)により、糖代謝やPWVの改善と伴に、単球機能改善を認めた(Diabetes Care 33:e7,2010)。最近、大規模スタディJELISにより、高脂血症薬・エイコサペンタエン酸(EPA)によるCVD発症抑制作用が報告された。今回肥満症において、EPAの3ヶ月投与により単球中M2マーカー(IL-10)の上昇を認め、動脈硬化指標:PWの改善に関連していた。更に、THP-1細胞において、EPA投与によるIL-10の発現上昇を認め、その効果は阻害剤やsiRNAの実験より、PPARγを介する可能性が示された(Diabetes care,in revision)。2)インクレチン関連薬(DPP-4阻害剤)の単球機能改善効果:2型糖尿病において、シタグリプチン50mgの3ヶ月投与により、体重に有意な変化は認められなかったが、空腹時血糖、HbA1cの有意な低下と血中GLP-1濃度の上昇を認めた。また、酸化LDLの一つであるSAA-LDLと、高感度CRPの有意な低下を認めた。また、シタグリプチン投与により血中及び末梢血単球中のIL-10発現の有意な上昇とTNF-α発現の有意な低下が認められた(Diabetes Care,in revision)。以上、肥満・糖尿病・Metsにおける単球機能改善を標的とした早期動脈硬化進展の検出や心血管病予防・治療戦略の可能性が示唆された。
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