研究概要 |
本年度の課題は、ボリビアの胆嚢がん患者と胆石症患者から環境要因解明のためにアンケートの回収と遺伝要因解明のために血液採取を行い、遺伝子多型を解析することである。2009年6月からボリビア・日本消化器センターの医師に依頼してアンケート用紙の回収と血液試料の採取を実施してきたが、胆嚢がん患者の経済的理由からがんの所見を有していても手術を希望する人が少なく、確定診断まで行える例が少ない。このためこれまでに約20例を集めたにすぎない。そこで、可能な限り予定していた試料数を得るためさらに2011年9月まで試料採取期間を延長することとし、現在、ボリビアの医師の協力のもと試料採取を継続している。得られたアンケートと遺伝子多型の解析は2011年度末までに行う予定である。 本年度は、ボリビアにおける本症発生の環境要因解明のための基礎的データを得た。隣国チリでは赤唐辛子摂取が本症発生の危険要因であり、チリ産赤唐辛子からアフラトキシンが検出されている。ボリビアにおいても本症発生に赤唐辛子のアフラトキシン汚染が関与しているという仮説を立て、ボリビア産赤唐辛子中のアフラトキシンB1, B2, G1, G2の分析を行った。その結果、コントロールとした日本産の赤唐辛子は何れのアフラトキシンも検出限界以下の濃度(0.5ppb以下)であったが、ボリビア産赤唐辛子からはチリ産の約10倍量の11.3ppbのアフラトキシンB1及び0.6ppbのアフラトキシンB2が検出された。アフラトキシンG1、G2は検出されなかった。 今後、アンケートの解析結果をもとに、赤唐辛子のアフラトキシン汚染と胆嚢がん発生との関連を明らかにする予定である。
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