研究代表者は、平成20年に日本衛生学雑誌の英文誌に原著論文をのせ、広島の極低線量被爆者でも、広島・岡山両県の一般住民に比較して有意に高い各種のがん死亡が存在したことをLSS12に基づき、明らかにした。平成22年度の研究では対象として、寿命調査第12報(LSS12)における長崎の被爆者集団(LSS-Nグループ)と、対照群として、長崎県の全人口(長崎県全住民対照群(NPCG))と隣の佐賀県の全人口(佐賀県全住民対照群(SPCG))を用いた。標準化死亡比(SMR)を算出するにあたり、長崎の被爆者集団と2つの対照群のデータを、ともに、性別、被爆時年齢別(5歳階級)で集約し、分類した。本研究では、県別の人口動態統計から得られる死因別死亡数と年齢階級ごとの人口を利用した。結腸線量(シーベルト(Sv)単位)は、3つの区分とする。すなわち、それぞれ、0.005Sv未満を極低線量、0.005から0.1Svまでを低線量、0.1から4.0Svまでを高線量とし標準化死亡比(SMR)を算出して、被爆線量区分別にがん死亡リスクを明らかにした。さらに、被爆時0歳~14歳の小児期被爆者について、LSSをお用いて、全国の同世代の小児とのがん死亡のリスクに関する追跡疫学研究を行なった。現在、投稿中である。
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