研究課題/領域番号 |
21590657
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
福島 哲仁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90208942)
|
研究分担者 |
神田 秀幸 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80294370)
早川 岳人 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50362918)
|
キーワード | パーキンソン病 / マンガン / 重金属 / ナイアシン / ビタミン / 培養神経細胞 |
研究概要 |
マンガン(Mn)曝露がparkinsonismを引き起こすことが知られている。Mnがnicotinamide N-methyltransferase (NNMT)活性に影響を及ぼし、nicotinamide (NA)から1-methylnicotinamide (MNA)への代謝が亢進し、神経毒性が生じるという仮説を検証した。MNAとその前駆物質であるNAによる神経毒性は、Mouse Brain Striatum Neuronal Cells (MS cells)を用い、MNAとNAの濃度を変えて培養し、MTT assayで生存率を測定した。MnがNNMT活性に及ぼす影響は、MS cellsをMnの濃度を変えて培養し、生存率を測定するとともに、その培養液中のMNA量を測定した。また、マウス大脳サイトゾール分画を酵素液とし、Mnの濃度を変えて、産生したMNA量の違いを比較した。MNAを10mM加えて培養すると、controlと比較して有意に細胞生存率が下がった。NAを加えて培養すると生存率が低下する傾向にあった。Mn濃度を変えて培養したMS cellsの生存率は、Mn濃度が高くなるにつれ低下していたが、培養液中のMNAは、生存細胞数あたりの産生量が増加していた。また、マウス大脳サイトゾール分画を酵素液とし、Mnの濃度を変えて、産生したMNA量の違いを比較して調べた実験では、1μmol/mg protein以上のMn濃度でNNMT活性が亢進した。MnによってNNMT活性が亢進し、脳内のMNAが増加することによって神経細胞死が引き起こされる可能性が示唆された。MNAの産生増加にかかわるMnやNAは日常的に摂取されており、パーキンソン病発症への関与が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って研究を進めており、論文化も順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
当初、疫学調査、in vitro実験、in vivo実験と進めて行く予定であったが、疫学調査とin vitro実験によって、ほぼ当初の目標が達成された。一方、今回神経細胞で認められた現象が神経に特異的なのか、あるいは一般化して老化の過程とみるべきか、新たな疑問も生じてきた。ある意味本研究の意義の根幹にかかわる問題であり、心筋細胞その他への影響を含め、他の臓器の老化とのかかわりをさらに追及してみたい。
|