ある大企業の男性労働者の中で、生活習慣、遺伝要因、メタボリックシンドローム関連健康指標の調査への参加の同意の得られた731名を対象として、アルコール感受性および肥満に関連する遺伝型の解析およびそれらの諸健康指標との関連性の解析を行っている。生活習慣については、健診時に自記式質問票に記入してもらった。遺伝型については、血液試料よりDNAを抽出し、PCR法を用いて解析を行った。 本年度は、内臓脂肪面積を測定していた男性470人(年齢の平均±標準偏差:52.4±5.7歳)を対象とした。内臓脂肪面積と皮下脂肪面積は、CTスキャンで測定した臍高における断面積を用いた。説明変数を、年齢、運動習慣(30分以上の全身運動が週1回以上、未満の2群)、喫煙習慣(なし、ありの2群)、飲酒量(7合/週未満、以上の2群)、ALDH2の遺伝型(1/2型と2/2型、1/1型の2群)として、多重ロジスティック解析を行った。内臓脂肪面積については、高年齢、ALDH2 1/1型で有意差がみられた。また皮下脂肪面積については、ALDH2 1/1型で有意差がみられた。しかし、これらの指標と飲酒量との間には関連がみられなかったため、ALDH2 1/1型と内臓・皮下脂肪面積との関連の機序については不明の点が多い。すでに検討を行っているアディポネクチン等の生理活性物質との関連をはじめ、さらに解析を進めていく必要がある。
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