研究概要 |
日本人透析患者の心房細動有病率は地域ベースの研究では未だに明らかにされていない。また、透析患者で心房細動がどの程度死亡リスクや脳卒中発症リスクを上げているのかは不明である。本研究課題では申請者らが従来実施してきた岩手県北部地域透析患者悉皆的コホート研究(カレン研究)に各透析施設で保有している透析患者の心電図情報を追加収集することにより、日本人透析患者の心房細動有病率を明らかにするとともに、心房細動が透析患者の死亡や脳卒中発症リスクをどの程度上げるのかを明らかにすることを目的としている。研究事業1年目の平成21年度には、上記25の透析施設長に従来のカレン研究に追加された形の研究としての心電図情報収集について周知し、各透析施設の透析スタッフと直接交渉し、心電図の複写作業についての具体的な日程を決めた後に研究者と研究支援者が透析施設を訪問して、スキャナによるノートパソコンへの取り込みならびに心電図の複写を直接紙媒体で収集する心電図の複写作業を行った。平成21年4月から平成22年3月までに複写した心電図は、コホート参加者1,632名中、1,511名(全体の92.6%)であった。心電図収集のできなかった121名は、当該透析施設での心電図記録が行われていなかった。収集された心電図の判読作業を同時進行で進めた。平成22年3月までの間に収集された心電図総数1,511枚中、研究代表者大澤が440枚の判読を終了した。一人の心電図判読は最低2人の医師による判読を行う予定であり、今後大澤が残り1,111名分の心電図判読を平成22年4月から順次進める予定である。尚1,511名分の心電図判読を、研究協力者の丹野講師と大学院在籍中の臨床系医師2名の合わせて3名が各々500名分の心電図判読を担当し、平成22年4月から平成23年8月を目処に判読作業を終了させる予定である。
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