吸入曝露した希土類粒子の体内挙動に及ぼす元素の種類および粒子径の影響を検討した。平均粒子径1および5μmのセリウム(Ce)とユーロピウム(Eu)の酸化物粒子を、マウスに吸入暴露させ、投与元素の体内分布および暴露中止後の経時変化を調べた。Ce、Eu共に肺に蓄積し、濃度は曝露期間が長く、粒子径が小さいほうが高く、暴露中止後経時的に減少した。Ceは肺以外の臓器にはほとんど分布しないが、Euは肝臓、腎臓、脾臓、骨にも一部移行し、特に骨濃度は暴露中止後も増加し長く減少しなかった。肺の顕著な炎症は認められず、肺毒性はあまり高くないが、希土類の種類により挙動が異なることから、産業現場では個々の化合物の違いを考慮して曝露防止に勤めるべきことが示唆された。
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