研究課題/領域番号 |
21590667
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
岩崎 賢一 日本大学, 医学部, 教授 (80287630)
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研究分担者 |
青木 健 日本大学, 医学部, 助教 (60332938)
小川 洋二郎 日本大学, 医学部, 助教 (60434073)
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キーワード | 環境 / 生理学 / 脳血流自動調節 / 低酸素 / 失神 |
研究概要 |
軽度低酸素環境での失神の発生機序の一つとして想定される一過性の血圧低下に対する脳血流の調節・回復能力の低下について、低酸素曝露時間を延長し検討した。平成23年度は、4時間の低酸素曝露において、脳血流の回復能力の低下が出現するか検討した。被験者を15%酸素の環境に4時間曝露したのちに、大腿カフ解除法により惹起された一過性の血圧低下に対する脳血流の低下の程度、及び、その回復率を評価した。さらに、血圧変動に対する脳血流速度の変動割合を伝達関数解析により求め脳血流自動調節機能を評価した。その結果、4時間の低酸素曝露後において、大腿カフ解除法により惹起された一過性の血圧低下に対する脳血流回復反応としては、初期の脳血流速度の低下の程度に有意な変化はなかったが、後半6~10秒のゆっくりとした回復の指標は、仮説に反し、むしろ良好になった。さらに、脳血流自動調節機能の指標である低周波数帯の伝達関数GainとCoherenceが低下し、自動調節機能が改善した可能性が示唆された。4時間の低酸素曝露後は、呼気終末二酸化炭素濃度が低下していた。この結果は低酸素に対する呼吸反応(過換気)により低二酸化炭素血症が発生していたことを示していると考えられるが、この変化と、観察された「脳血流回復能力の改善、脳血流自動調節機能の改善」が関係している可能性が考えられる。一方、より緩徐な血圧変動部分(超低周波数帯:14秒~)においては、伝達関数のGainとCoherenceが増加していた。この結果から、大変緩徐な血圧変動に対しては、低酸素曝露で自動調節機能が減弱し脳血流も大きく変動していたと考えられた。つまり、ある程度長時間の低酸素曝露が「一過性血圧低下時の脳血流回復能力」や「脳血流自動調節機能」に及ぼす影響は、血圧変化の速度に依存して異なる可能性が示唆された。
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