研究概要 |
C57BL/6、Wild Type(WT)Nrf2+/+、Knockout(KO)Nrf2-/-マウスを用いた。BLM(0,70,80,90mg/kgBW)を経尾静脈的に1回投与し、BLM投与後28日目に肺病理組織学的検討を行った。その結果により、BLM(80mg/kgBW)を経尾静脈的に1回投与し、BLM投与後0,3,7,10,14,21,28日目にBALを行い,総細胞数と細胞分画を算定した。その結果、Nrf2+/+ではBLM90mg/kg、Nrf2-/-では70mg/kg投与により、肺組織の明らかな線維化病巣が見られた。Nrf2+/+、Nrf2-/-ともBLM投与後7日目からBAL液中の総細胞数、マクロファージ数が上昇し、Nrf2+/+はNrf2-/-に比較し、総細胞数、マクロファージ数は有意に高値を示し、好中球数はやや上昇した。Nrf2はBLM肺線維症病態を制御する主要因子と考えられた。興味深いのは、BLM肺線維症モデルにおいて、Nrf2欠損マウスでの肺線維症の増悪は炎症病態増悪によるものではなく、リモデリング病態に関わる可能性が示唆された。以上の実験結果を踏まえて、下記の実験群を設定し、東京理科大学の曝露装置を利用し、DEP曝露実験を行った。G1:生食水投与群;G2:DEP単独曝露群;G3:BLM投与群;G4:BLM投与4週間前からDEP曝露群;G5:BLM投与同時からDEP曝露群。各群において、BLM(80mg/kgBW)を経尾静脈的に1回投与後10日目に、右肺にてBALを行い、左肺組織を採取し、次年度に予定する酸化ストレスマーカー解析、および抗酸化酵素・リモデリングに関わる因子の発現検討に供するため、-80℃に冷凍保存した。BLM投与後28日目に、いずれの群とも左肺組織を取り出し、肺病理組織標本を作製に供した。右肺組織を取り出し、HOP含有量を測定に供するため、-80℃に凍結保存した。本研究により、BLM肺線維症病態におけるDEPの影響、およびNrf2の役割について明らかにし、DEP曝露の予防対策に寄与できることが期待される。
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