研究概要 |
アトピー性皮膚炎の発症関連要因及び予防要因解明を目的として、二世代継続前向きコホート研究である「九州・沖縄母子保健研究」を開始した。平成19年度にベースライン調査として妊婦のリクルートを実施した。最終的に九州・沖縄に在住する妊婦の1758名が参加した。ベースライン調査では、本研究用に開発した生活習慣、生活環境、既往歴等に関する質問調査票と食事歴法質問調査票を使用した。他に、寝具のほこりを採取し、ダニ抗原量を測定した。平成21年度末までに、出生時追跡調査、4ヶ月時追跡調査及び1歳時追跡調査が完了し、それぞれ1,591組(追跡率90.5%)、1,482組(追跡率84.3%)、1,412組(追跡率80.3%)の母子が参加した。4ヶ月時調査では質問調査票による情報収集に加え、遺伝子検体の収集、唾液コチニン量の測定、母親の歯周疾患検査を実施した。1歳時追跡調査では、母乳、人工乳、離乳食摂取状況、家庭内喫煙状況、生活環境、感染既往、抗生剤使用状況、疫学的診断基準と医師診断によるアレルギー有症状況などの質問が含また。平成21年7月より2歳時追跡調査を実施しており、食習慣、家庭内喫煙状況、生活環境、ワクチン接種状況、感染既往、疫学的診断基準と医師診断によるアレルギー有症状況などの質問を含んでいる。ベースラインデータを活用して若年成人女性における各種環境要因とアトピー性皮膚炎有症率との関連を評価する。追跡調査のデータを用いて、生まれた子供の出生前後の各種環境要因及び遺伝要因と乳幼児期アトピー性皮膚炎発症との関連を調べる。最終的に、アトピー性皮膚炎における環境要因と遺伝要因の交互作用を解明し、オーダーメイドのアトピー性皮膚炎予防を探索する。
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