研究課題/領域番号 |
21590674
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
大藪 貴子 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教 (20320369)
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研究分担者 |
田中 勇武 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (00038035)
明星 敏彦 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 准教授 (00209959)
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キーワード | 二酸化チタンナノ粒子 / 気管内注入 / 有害性評価 / 体内動態 |
研究概要 |
粒子はナノサイズになると、ナノ領域に特有の電気的性質、光学的性質が発現する。これらの性質を利用して、産業界では様々な商品の実用化が進んでおり、今後急激にその生産量、使用量が増加すると予測される。しかしナノ粒子含有製品の開発、製造、使用、廃棄の過程において、ナノ粒子が空気中に飛散し、浮遊、労働者が吸入する可能性がある。ナノサイズの粒子はミクロンサイズの粒子に比較して肺への影響が重篤であるという報告や、ミクロンサイズの粒子とは異なる体内動態も指摘されており、その有害性評価は、実際の労働環境における曝露に合わせた経気道的曝露を行い、また、最初の標的臓器である肺だけでなく全身における影響も評価検討することが必要である。 本研究では、まず確実にナノサイズ粒子を試験試料とするため、市販の二酸化チタン粉体を蒸留水に懸濁させ、超音波粉砕、遠心分離操作を行い、二酸化チタンのナノサイズ粒子懸濁液を作成した。作成した粒子は気管内注入に供する分散した懸濁液の状態で動的光散乱法による粒径分布測定を行った結果、50nm程度のナノサイズであることが確認できた。この懸濁液を、0.2mgおよび0.5mgの投与量でエーテル麻酔下のラット肺に気管内注入を行った。気管内注入後、3日後、1ヶ月後、3ヶ月後に各群5匹を解剖し、肺、肝臓、腎臓、脾臓、血液を採取した。これらは、今後、二酸化チタン量の定量に供し、速度論的解析に利用する。また、0.5mg投与群の各5匹については、病理標本用にホルマリン保存し、今後組織変化評価に用いる。
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