研究課題/領域番号 |
21590677
|
研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
高取 聡 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (90311480)
|
研究分担者 |
起橋 雅浩 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (60250312)
北川 陽子 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (20280836)
福井 直樹 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 研究員 (90516717)
|
キーワード | 衛生 / 食品 / 分析科学 / 残留農薬 / 食の安全・安心 |
研究概要 |
我が国では多種多様な加工食品が大量に生産され流通しているが、加工食品中の残留農薬の分析法については、一部の加工食品とベビーフードを対象とした方法しか見当たらない。本研究では、多様な加工食品を水分、脂質、タンパク質、糖分及び塩分等の含有量を考慮して系統的に整理し、その系統に基づいた迅速かつ簡便な加工食品中の残留農薬-斉分析法を構築することとした。本年度は、以下の項目を実施した。 (1) 飲料に適用できる分析法の構築 飲料に含まれるアルコールは、分析の支障となる。そこで飲料をアルコール含有飲料と非含有飲料に大別し、分析法を検討した。分析法は、生鮮農産物の分析法を基本にアセトニトリル抽出と固相抽出による精製を組み合わせた方法を採用した。ブドウ果汁にアルコールを段階的に添加した「模擬ワイン」を調製し、分析に支障を来すアルコール濃度が約10%であることを明らかにした。アルコール度数が14%程度の果実酒であれば、精製水で2倍に希釈することでアルコール非含有飲料と同じ前処理で分析できることが分かった。機器にはタンデム型質量分析計付液体クロマトグラフ(LC-MS/MS)を用いて、多様な飲料について添加回収試験を実施した。現在、タンデム型質量分析計付ガスクロマトグラフ(GC-MS/MS)を用いてLC-MS/MSに適用できない農薬について添加回収試験を実施している。 (2) 糖分あるいは塩分を多く含む食品に適用できる分析法の構築 昨年度構築した、糖分あるいは塩分を多く含む食品(漬け物あるいは乾燥果実等)に適用できる分析法について、GC-MS/MSを用いてLC-MS/MSに適用できない農薬について添加回収試験を実施した。上記範疇から選択した5種類の食品について適用できる農薬は、約200項目であった。 本研究で開発された分析法あるいは得られた知見は、国民の期待する食の安全・安心の推進に寄与できるものであり、本成果は、学術的にも行政的にも有用であると思われる。
|