本研究は、健康リスクへの対処に関わる政策、特にリスクの受容と忌避や政策選択に係るリスクコミュニケーションのあり方、特にマスメディアが政策議論に果たす機能について実態調査を行い、日本・欧米における同リスクの管理・政策の現状についての比較実証分析を意図する。これにはリスクコミュニケーションのあり方、リスクの合理的受容、政策過程における専門家・市民の位置付けも課題として含んでいる。 本年度は、1980年代後半から食の安全を揺るがすものとして大きな問題となった狂牛病(BSE)ならびに変異型クロイツフェルト=ヤコブ病(vCJD)との二者を先ず取り上げた。日本、米国さらに、英国の代表的マスメディア(新聞)記事の収集を行い、それらの内容分析を開始した。収集された政策議論は、内容に応じて分類・コード化を行い、定性的また定量的に比較検討を開始している。問題提示・議論の枠組、比較考量された価値、議論の直接・間接的参加者、政策決定の方法に関する検討、中間・事後評価の有無など、政策内容に直接関わる部分と政策決定過程に関する部分の双方を検討し、事実・問題の報道、および政策議論の類型化を図っている。
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