小児のアレルギー発症には、妊娠中の母の免疫状態が関連し、妊娠中の食事や生活習慣が母だけでなく児の免疫にも影響する可能性がある。本研究では、妊娠中の食事の中で脂質に注目した。前向きデザインで、妊娠中の母の脂質摂取と臍帯血IgE値との関連、臍帯血IgE値と出生後児のアレルギー発症との関連、妊娠中の母の脂質摂取と出生後児のアレルギー発症との関連を評価する。 研究代表者が所属する分野が行ったホルモンに関する疫学研究にて、数百人の女性が、妊娠中から現在も当研究に参加している。妊娠29週時に、5日間食事記録、生活習慣調査を、出産時に、臍帯血採取を行った。食事記録から脂質摂取量を推定し、コマーシャルラボに依頼し、臍帯血IgEを測定した。出産後経年的にアレルギーを含む児の状態を追跡している。 平成21年度には女児についてデータの集計、解析を行った。女児についてのみの解析結果であるが、母の妊娠中脂質摂取推定量と臍帯血IgE値との間には有意な相関関係は認めなかった。 乳児期のアレルギー疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎)を有する女児と有しない女児の臍帯血IgE値を共分散分析にて比較した。有意差は認めなかった。
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