今年度も引き続きインタビューを実施し、在日タイ人とその家族の日常生活及び健康上の問題等について情報を収集した。インタビュー・データは原語(タイ語)で書き起こし、邦訳、邦訳のチェックを行い、その後分析を行った。在日タイ人の生活実態の多様性が明らかになった。 しかし、書き起こし・邦訳・邦訳チェックのプロセスは、そこで必要とされる言語能力やインタビュー回答者の個人情報保護の観点から対応できる人数が限られていて時間がかかり、スムーズな情報集積の妨げとなっている。 それを補完する可能性が見出されたのが、在日タイ人支援グループのメンバーを対象に今年度新たに行った課題検討会である。本年度は呼び寄せの子どもをテーマに取り上げ、メンバーが日頃の活動を通して得られた情報を共有し、対応策を検討した。その過程で支援者は課題を再認識し、研究者は幅広い情報を得ることができた。 この方法では、短時間で多様な視点から多くの情報を得ることができるうえ、情報の性質から記録及び邦訳が比較的容易であるというメリットがあった。一方で個別の詳細な情報を得ることができないというデメリットはあったが、その後に個別のインタビューにつなげることで補える可能性が十分考えられた。 一方、新たな問題にも直面した。対象者からインタビューの了解を得ながらも最終的に協力を得ることができなかったケースが2件あった。いずれも研究目的の観点からぜひともインタビューを行いたかったケースであり、本研究の対象者へのアクセスの困難さが改めて認識された。 次年度はインタビューを継続する一方で、そこでの問題点を補完するため、支援者を対象にした特定課題検討会の実施及び継続を積極的に検討する。
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