本研究を遂行する上で使用するGISソフトウェアの決定は極めて重要であったが、市場調査の結果、ESRI社のArcViewを候補とし、ESRI社と質疑応答を行い、ArcViewを使用することにより、研究目的が達成できると判断した。さらに、質疑応答の過程で道路網などによるネットワークデータセットの構築と最短経路の検索にはNetwork Analyst、大気中の化学成分濃度の空間分布推定にはGeostatistical AnalystとSpatial Analystの3種類のエクステンション・ソフトウェアおよび3種類の数値地図データが必要であることも判明したので購入した。また、住所データを利用するための住所ジオコーディングに関しても、市場調査を実施し、本研究で必要な号レベルのジオコーディングは、インクリメントP社の全国住所ジオコーディングサービスで対処できることがわかったので、同サービスをWeb上で利用するためのGISonDemandを購入した。これらのソフトウェアおよび数値地図データを専用のパソコンにインストール後、対象の地図属性データ(医療機関までの距離、バス停までの距離など)を算出し、ArcViewのファイルに追加した。前述の作業と並行して、原爆被爆者データベースより、原爆被爆者の1998年から2007年までの検診成績(赤血球数と白血球数、血色素量、血圧、肝機能検査値)および問診成績と喫煙・飲酒情報を抽出し、解析用ファイルを作成した。これらの作業を行ったことにより、解析を行うための環境が整備された。
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