本研究は、スリランカ国内の津波被災地域住民を対象に、被災体験による心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症状況を調査し、被災時の体験や被災状況、被災後の生活状況との関連を明らかにすることを目的とする。本年度は下記のことを行った。 1. 現地研究協力者との研究打ち合わせ ルフナ大学人間学・社会科学部のSarath Amarasinghe教授と調査対象地域、対象者数について研究打ち合わせを行った。 2. 質問紙のシンハラ語への翻訳 調査に用いる精神医学的測定尺度であるMMSE(Mini-Mental State Examination=認知機能検査)を現地の使用言語であるシンハラ語に翻訳した。 3. 疫学調査の実施 翻訳した調査質問紙を用いて、PTSDの疫学調査を実施し、データ収集を行った。現在、予備的な解析を行っているが、津波被災体験が精神医学的症状に影響を及ぼすことが示唆されている。今後は、PTSDと認知症の関連要因に関する分析を行うことで、被災当時の年齢、性別、宗教や健康・活動状態などを加味しPTSDの発症または増悪、認知症に影響を及ぼす主要因について詳細に検討を行っていく。
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