研究課題/領域番号 |
21590702
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
本田 純久 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90244053)
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研究分担者 |
野村 亜由美 神戸大学, 大学院・保健学研究科, 研究員 (50346938)
今村 芳博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 研究員 (90315242)
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キーワード | 社会医学 / ストレス / 統計数学 / 社会福祉関係 / 疫学調査 / 国際情報交換 / スリランカ |
研究概要 |
スマトラ沖地震による津波に被災したスリランカ南部マータラ県において、質問紙を用いた調査を行うことにより、心的外傷後ストレス障害の発症に影響を及ぼす要因を明らかにすることを、本研究の目的とする。調査対象者数は合計で501人(男237人、女264人)、対象者の平均年齢は41.3歳(標準偏差19.6歳)であった。心的外傷後ストレス障害の評価にはImpact of Event Scale-Revised (IES-R)質問紙を、精神的健康状態の評価にはGeneral Health Questionnaire (GHQ)12項目質問紙を用いた。被災体験と心的外傷後ストレス障害との関連については、津波により家族を亡くした人、友人・知人を亡くした人、家族がけがをした人、本人がけがをした人、家財の一部を失った人、家屋に被害を受けた人、生計を失った人において、IES-R得点の中央値が有意に高かった。また対象者の属性と心的外傷後ストレス障害との関連では、女性は男性に比べIES-R得点の中央値が有意に高く、年齢が50歳以上の人は29歳以下および30-49歳の人に比べIES-R得点の中央値が有意に低かった。主観的健康感とIES-R得点の間に有意な関連はみられなかった。被災体験と精神的健康状態との関連についても、津波により友人・知人を亡くした人、家族がけがをした人、本人がけがをした人、家屋に被害を受けた人、生計を失った人において、GHQ-12高得点者の割合が統計的に有意に高かった。本研究の結果より、津波による被災体験や被災時の状況が、心的外傷後ストレス障害をはじめとする精神的健康状態に影響することが示唆された。
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