研究課題
救急疾患は、発症後、速やかに適切な治療を開始することが、生命予後の改善、後遺症の緩和につながる。その為には、適切な治療を速やかに開始できるシステムを地域で構築することが必要であるが、未だ、そう言ったシステムの構築は不十分なままである。救急疾患の中でも特に脳梗塞は、発症後、速やかに専門医療機関で治療を開始することが、後遺症予防の観点から非常に重要である。本研究では、119番受信時の情報から、患者が脳卒中を発症している可能性を、確率的に表すことを目的とした。脳卒中の可能性を119番受信段階で把握し、速やかな病院搬送、速やかな治療開始につなげるためである。平成21度および22年度において、119番通報時点において脳卒中発生を識別するためのアルゴリズムとして、ベイズ定理を用いた手法とロジスティック回帰モデルを用いた手法の両方を検討し、アルゴリズムの原形を作成した。2つの異なった手法による識別結果を、ゴールドスタンダードとなる搬送先の医師による確定診断の結果、および救急搬送医療機関の初診時の結果と照らし合わせ、精度を比較した。比較の結果では、ロジスティック回帰モデルを用いた発生確率計算式の方が、より高い精度が得られた。平成23年度は、計算式として、より精度の高かったロジスティック回帰モデルを用いた脳卒中発生確率計算モデルを構築した。同モデルでは、通報者(観察者)の属性、患者の年齢の情報に加え、意識、会話の状態他、15の症候、2つの既往歴で脳卒中の発生確率が計算できるようになっている。平成23年度は、研究期間の最終年度として、同計算モデルをコンピュータプログラム化し、インターネット上で脳卒中発生確率が計算できるソフトを開発した。
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電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌)
巻: 132 ページ: 61-67
医療情報学
巻: 31 ページ: 3-12
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