研究概要 |
初年度である平成21今年度は,研究課題のうち医学生に焦点をあて,「医学生のジェンダーは医学生およびSPのコュニケーション・スタイルに影響を与えるのか」をテーマに研究を行った. 1調査 米国で行われる国際学会"International Conference on Communication in Healthcare"に参加し,各国の研究者と意見交換を行った.(平成21年10月) 2OSCE医療面接の分析 名古屋大学医学部で実施された客観的臨床能力試験(OSCE)のうち,4年次医学生82名(男子53名,女子29名)とSP(女性8名)の医療面接を対象に,医療コミュニケーション分析法RIASを用いて分析を行った.その結果,医学生のジェンダー差は,医学生およびSPのコミュニケーション・スタイルにいくつかの影響を与えていることを確認した.まず,医学生のコミュニケーションには2点の違いが見られ,女子医学生の方が男子医学生より,感情表出の発話(特に共感の発話),開かれた質問が有意に多かった.また,SPのコミュニケーションにも3点の違いが見られ,女子医学生との面接の方が男子医学生との面接より,SPの社交的会話,医学的情報提供,総発話数が有意に多かった.以上の結果を,原著論文「客観的臨床能力試験(OSCE)医療面接におけるジェンダーとコミュニケーション・スタイルの関係」として発表した.同論文は,日本の医師-患者コミュニケーションにジェンダーが与える影響を実証的方法により明らかにした,初めての研究である.
|