研究課題/領域番号 |
21590720
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
柴崎 浩一 日本歯科大学, 学長 (30018882)
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研究分担者 |
渡辺 卓也 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (00440066)
長谷川 勝彦 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (60328870)
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キーワード | 感染症 / ピロリ菌(H.pylori) / 口腔衛生 / 幼児 |
研究概要 |
Hericobacter pylori (H.pylori)の幼少児期における初感染時期ならびに感染経路を明らかにするために、無作為に抽出した幼稚園・保育園の園児(3~6歳)をコホート対象とし、3年間の追跡調査を行っている。2年目もは新潟市内の3つの幼稚園・保育園に通う園児とその母親のH.pylori感染率を検討した。結果は以下のとおりである。1.検体は園児232名、その母親(209名)から採取した。H.pylori DNAの検出は前回と同様にQIA amp DNA Mini kitでDNAを抽出した後、real time PCRを用いて行った。2.園児のH.pylori DNA感染率は3歳児で2.8%(1/36)、4歳児で3.3%(3/90)、5歳児で11.4%(10/88)、6歳児で16.7%(3/18)であり、年齢とともに上昇する傾向がみられたが、とくに4歳児と5歳児の間で有意差を認めた(P<0.05)。一方、園児の母親のH.pylori感染率は、20歳代で16.7%(1/6)、30歳代で23.5%(35/149)、40歳代で11.5%(6/52)であり、各年代間で有意差は見られなかった。しかし、H.pylori DNAが陽性であった園児14名中8名(57.1%)では母親も陽性であった。「研究の意義ならびに重要性」3歳ですでにH.pylori感染児が認められたことから、生後早い時期での感染が疑われ、幼児での感染者の半数以上で母親にもH.pylori感染が認められたことは、母から子への感染を示すものである。また、4歳児から5歳児で感染率が有意に上昇した意義については、今後さらに検討する必要がある。さらに口腔衛生の重要性を啓蒙し、園児ならびに両親の口腔衛生の向上がH.pylori感染を減少させうるか否かについても研究していきたい。
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