花卉に残留する農薬の分析前処理方法は確立された。抽出液のpH、抽出溶媒及び精製方法が評価された。研究に使用した農薬は殺菌剤2種、クロロタロニル及びヘキサコナゾール、殺虫剤5種、カルバリル、シペルメトリン、フェニトロチオン、フェンバレレート及びマラチオンを含んだ。最も良好な回収率は検討した条件の中で、pH 5.0で抽出溶媒としてアセトニトリル及び精製方法にInertSep GC/PSAミニカラムを使用することにより得られた。全体を通しての回収率は75-126%、相対標準偏差の値は2.1-16%の範囲であった。 また、花卉に散布した農薬の室内放散性の検討は行われた。散布した農薬の揮発はクロロタロニル、ヘキサコナゾール、フェニトロチオン及びマラチオンで確認された。フェニトロチオンの放散速度は、クロロタロニル、ヘキサコナゾール及びマラチオンの放散速度よりも高い0.10μg/(unit・h)であった。花卉1本分におけるフェニトロチオンの吸入曝露量は算出された。この値(0.0082μg/kg・day)は、ヒト許容一日経気道曝露量7.4μg/kg・dayの1/900であった。したがって、日常生活における吸入曝露による影響は少ないように思える。
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