研究概要 |
今年度は、村松コホート研究における6年後骨折追跡調査を完了した。追跡調査は、平成21年6,7月に行なわれ、対象者より直接骨折情報を聞き取った。面接できなかった者に対しては、郵便または電話で骨折情報を得た。得られた骨折情報の診断は、治療医療機関で確認した。対象者は、五泉市村松地区在住で70歳以上(2004.3.31現在)の女性773人で、4,250人一年の観察(平均追跡期間5.6年)が可能であった。ベースラインにおける年齢および血中25-hydroxyvitamin D(25[OH]D)濃度の平均値は、それぞれ、74.6歳および60.0nmol/Lであった。追跡期間中に、50人に51の骨粗霧症性骨折(前腕骨折19件、上腕骨折8件、大腿骨折7件、下腿骨折3件、椎体骨折14件)が観察された。全体の骨粗鬆症骨折の罹患率は4.5(1,000人一年あたり)であった。ベースラインにおける血中25(OH)D濃度の4分位別に分析すると、年齢、BMI、骨密度などの交絡要因を調整後、濃度最大群(71nmol/L以上)と比較して最小群(48nmol/L未満,ハザード比2.8)および第3番目(59-70.9nmol/L,ハザード比2.8)では骨折罹患率が有意に上昇していた。これまでの研究では、骨粗鬆症予防のためには血中25(OH)D濃度が50nmol/L以上であることが望ましいとされてきたが、骨折を指標とした本コホート研究により、より高い25(OH)D濃度が望ましいことを見出した。
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