研究概要 |
老健施設には常勤医の配置が定められており、日常の介護とともに医療を同時提供することで入所者の居宅復帰を目指す介護保険施設である。しかし、老健施設入所者に提供される医療サービスの大部分は、医療保険で請求することができず、施設側は介護報酬でそれらを賄う必要がある。療養病床が削減されつつある中、医療ニーズの高い要介護高齢者が老健施設に受け入れられるためには、合理的な報酬制度のもとで、介護と共に適正な医療が老健施設入所者に提供可能となる必要がある。 本研究は、大阪府内の某老健施設入所者を対象に、入所者が入所中に提供された医療サービスの種類と頻度を把握することを目的とする。 今年度は61名の入所者(女性81%、入所時の平均年齢:81.2(標準偏差10.0)歳)に対し、延べ16,508日(一人あたり平均271日)間に提供された医療サービスとして、内服薬の種類と投薬頻度・期間、点滴・注射の種類と回数・期間、血液検査の種類と回数、画像診断の種類と回数、処置の種類と回数、医療機関への入院の有無(入院先医療機関の種別・人院理由・入院の契機となった疾患について情報収集をおこなった。内服処方は延べ約15万処万に及んでおり、補液は約500回施行されていた。血液検査は栄養評価のための血清アルブミン値側定が最多であったが、緊急時の血算・白血球分画・肝機能・電解質・炎症反応セットも多かった。画像診断(保険償還あり)は、胸部単純撮影に次いで胸部CT撮影が多かった。
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