本邦の約3分の2の人口が集中している都市部とそれ以外の場所との間では、生活習慣や健康・医療資源へのアクセシビリティなどをはじめとして環境も大きく異なり、死亡率等の特徴・動向が異なる可能性がある。本研究の目的は日本の代表集団を対象としたコホート研究であるNIPPON DATA90と日本で唯一の都市部(大阪府吹田市)でのコホート研究である吹田研究を用いて、これらのベースライン特性、死亡率(総死亡率とその推移、疾患別の粗死亡率や年齢調整死亡率とその推移など)、各主要危険因子の死亡に対するリスクなどを比較することにより、相違点およびその原因を考察することである。また、解析結果を踏まえて、今後の都市部での死亡動向を予測するモデルの作成が可能かを検討する。これらの目的を踏まえ、平成21年度においては、平成22年度に実施予定の解析に向けて、下記のようにデータセットの準備を行った。まず、NIPPONDATA90および吹田研究のデータセットを入手し、データクリーニングを実施した(各変数の外れ値や矛盾データの確認、可能な場合にはデータの修正など)。次に、各コホートの解析対象者の選定を行い、さらにコホート間で比較するために、各変数における共通の基準をガイドライン等を参考に検討し、変数名と基準を統一した。最後に死亡率の推移等の解析のため、各コホートにおいて、ベースライン(NIPPONDATA90:1990年、吹田研究:1989年)-1995年、1996-2000年、2001-2005年の5年毎に3つの期間に分割した追跡データセットを作成した(死亡した場合はその時点で観察打ち切りとした)。これらのデータセットを用いて、今後、解析を順次、実施していく予定である。
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