研究概要 |
Nested Case-Control Studyによる心臓突然死発症のリスクファクターの検討 対象と方法:1973~2001年に4地域の循環器健診を受診し、24時間食事思い出し法食事調査を実施した10,481人について、1981~2005年までの発症調査を行い、77症例の心臓突然死発症を同定し、地域・性別・循環器健診受診年(±3年)・健診受診時年齢(±3歳)を1対2でマッチさせた対照(n=154)を無作為に選択した。条件付きロジスティック回帰分析を用いて、各栄養素のエネルギー調整後摂取量の心臓突然死発症に対するオッズ比(OR)を、連続変量および第1四分位を基準とする第2~第4四分位それぞれについて算出した。 結果と意義:葉酸摂取量は心臓突然死発症との間に負の関連傾向が見られ、第4四分位の心臓突然死発症ORは0.32(95%CI,0.12-0.82)と、有意にリスクが低かった。一方、ビタミンB6・B12の各摂取量と心臓突然死発症との間に有意な関連はみられなかった。以上より、心臓突然死予防における葉酸摂取の有用性が示唆された。 心臓突然死のリスクファクターを有する者の頻度 対象と方法:秋田県I町、茨城県C市K地区、大阪府Y市M地区、高知県N町の地域住民で、2001~2005年の循環器健診受診者(男4,900人、女8,082人)を対象として、前年度のNested Case-Control Studyの結果に基づき、心臓突然死のリスクファクターを有する者の頻度を検討した。 結果と意義:高血圧(OR 1,52)は、男44.6%、女33.6%、糖尿病(OR 2.24)は、男9.7%、女4,4%、現在喫煙(OR 1.70)は、男44.6%、女7,1%、majorST-T異常(OR 3.12)は、男3.9%、女4.8%であった。以上より、高血圧および喫煙対策は、心臓突然死の予防にとって特に重要であると考えられた。
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