研究課題/領域番号 |
21590732
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中島 たみ子 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40008561)
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研究分担者 |
小湊 慶彦 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30205512)
佐野 利恵 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70455955)
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キーワード | 酵素 / DNase I / 心筋梗塞 / ELISA / 診断マーカー |
研究概要 |
近年、我々は急性心筋梗塞(AMI)患者血清中のDNase I酵素活性が発症後一過性の上昇を示すことを見出し、血清中のDNase I活性値の上昇が急性心筋梗塞の特異的診断マーカーとなることを報告した。これまで、DNase I酵素はSingle Radial Enzyme Diffusion(SRED)法により活性を測定しているが、判定までに長時間を要する。そこで、今後臨床診断に応用するため、より短時間に血清中のDNase I蛋白量を測定するサンドイッチELISA法を開発し、酵素活性法と比較検討した。一次抗体には、自家製のウサギ抗DNase Iポリクローナル抗体、二次抗体には自家製のビオチン標識マウス抗DNase Iモノクローナル抗体を用い、ABC法により比色測定した。標準DNase I標品は、COS-7細胞に発現させたhuman recombinant DNase Iの精製品を使用した。その結果、サンドイッチELISA法による精度は、SRED法とほぼ同程度であり、DNase I蛋白量は、SRED法で測定した活性値と強い相関関係が認められ(r=0.839;P<0.001)、測定時間も3時間以内に短縮出来た。ELISA法を用いてAMI患者の血清DNase I酵素蛋白量を経時的に測定すると、胸痛発症後0-12時間以内のDNase I蛋白量は、健常人に比較し有意に高い値が得られ、13-24時間および、25-48時間後では、0-12時間に比較し有意に減少し、酵素活性と同様蛋白量も一過性の上昇が認められ、ELISA法は心筋梗塞の早期診断に有用であることが確認された。また、QGP-1培養細胞を用いた実験系を利用し、心筋梗塞発作時の血清DNase I上昇のメカニズムについて解明を行っている。更に法医領域では、死因の確定診断後、開発したELISA法を用いて、心筋梗塞による死亡例の血清中に高値のDNase Iが証明出来るか否かを検討している。
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