研究課題
これまで、血清中のDNase I活性値の上昇が急性心筋梗塞の特異的診断マーカーとなることを見出し、従来のSingle Radial Enzyme Diffusion (SRED)法による活性の測定に代わり、より短時間に血清中のDNase I蛋白量を測定する、サンドイッチELISA法を開発した。サンドイッチELISA法を用いてAMI患者の血清DNase I酵素蛋白量を経時的に測定すると、胸痛発症後0-12時間以内のDNase I蛋白量は、健常人に比較し有意に高い値が得られ、その後有意に減少し、酵素活性と同様蛋白量も一過性の上昇が認められ、ELISA法は心筋梗塞の早期診断に有用であることが確認された。現在は更に迅速簡便な診断マーカーの開発を続行している。血清DNase I活性上昇に基づく急性心筋梗塞の特異的診断方法を確立するために、QGP-1培養細胞を用いて、DNase Iの発現が増加する機序の解明を行った。低酸素以外にDNase I活性の上昇を導く物質を検索したが、Lactate、Glucose、Vitamin D、Insulin、CoCl_3、NaN_3及びpH変化では、いずれも活性の上昇は認められなかった。また、QGP-1細胞における低酸素状態でのDNase Iの活性上昇のメカニズムを解明するため、シグナル伝達経路について調べた。PI3Kの阻害剤であるLY294002やMEK1&2の阻害剤であるU0126をQGP-1細胞に作用させると、低酸素状態でいずれもDNase I活性が低下する事から、低酸素状態におけるDNase I活性の上昇には、PI3K-AktやMAPKのシグナル伝達系路が関与している可能性が示唆された。また、QGP-1細胞以外にもDNase Iを発現する細胞を検索するため、繊維芽細胞や冠状動脈血管内皮細胞などの培養細胞を用いて、低酸素状態でDNase I活性レベルを測定したが、いずれも上昇は認められなかった。更に法医領域では、死因の確定診断後、開発したELISA法を用いて、心筋梗塞による死亡例の血清中に高値のDNase Iが証明出来るか否かを検討している。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (6件)
Leg Med (Tokyo).
巻: 13 ページ: 22-29
巻: 13 ページ: 39-40
DNA多型
巻: 18 ページ: 278-282
Clin Lab.
巻: 56 ページ: 143-147
Clin Chim Acta.
巻: 411 ページ: 92-98
Electrophoresis.
巻: 31 ページ: 2063-2069
Glycobiology.
巻: 20 ページ: 1251-1254
巻: 18 ページ: 259-263