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2009 年度 実績報告書

ストレスは覚醒剤の心臓への影響を強めるか?-遺伝子発現を指標とした病態生理解明

研究課題

研究課題/領域番号 21590735
研究機関三重大学

研究代表者

那谷 雅之  三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70241627)

研究分担者 富田 正文  川崎医科大学, 医学部, 准教授 (50113197)
キーワード覚醒剤 / 身体拘束 / 心臓 / 遺伝子発現 / NFκB / MAPK / 炎症反応 / Renin-angiotensin-aldosterone(RAA)系
研究概要

覚醒剤投与後に錯乱状態にある者に身体拘束を行うと突然死することがあるが、死に至る機序は不明である。本研究では、覚醒剤および身体拘束の突然死との関連について、心筋発現遺伝子による分子病態学的検討を行った。
Methamphetamine(30mg/kg)をC57BL/6J雄マウス(9週齢、23~30g)に腹腔内投与し、その後1時間拘束した群(SM群)、覚醒剤投与後1時間放置した群(M群)、生理食塩水(10ml/kg)を腹腔内に投与後拘束した群(S群)、生食投与後1時間放置した群(C群)の4群に分け、心筋より抽出したmRNAについてmicroarray法および定量的RT-PCR法による遺伝子発現定量を行った。また、血清TNF-α,IL-1β,IL-6濃度を、ELISA法を用いて測定した。
Microarray法において、C群に対し覚醒剤投与および身体拘束群において3倍以上発現変動を示したものが22遺伝子、1/3以下の発現変動を示したものが14遺伝子あった。36遺伝子の内、機能が明らかな22遺伝子について定量的RT-PCRを行った。22遺伝子の内、Nfkbiz,Nr4a1,Dusp1,Rgs2,Rasd1,MafFの6遺伝子に有意差を認めた。その発現変動パターンからM群とSM群で変動を示したグループ(Nfkbiz,Nr4a1,Dusp1)、S,M群において増加傾向を示し、さらにSM群で増加発現を示したグループ(Rgs2,Rasd1,MafF)の2グループに分類できた。血清中IL-1βは覚醒剤投与で有意に上昇を示し、一方TNF-α,IL-6は覚醒剤投与および身体拘束で有意に上昇を示した。覚醒剤投与の影響としてNfkbiz、Nr4a1とDusp1のmRNA発現増加よりNFκB,MAPKの活性化とそれらを介した炎症反応惹起、また同時に炎症反応を抑制する経路の活性化が示唆された。一方、覚醒剤投与後の身体拘束の影響として、Rgs2 mRNAの発現増加よりRenin-angiotensin-aldosterone(RAA)系の活性化、Rasd1 mRNAの発現増加より心筋へのストレス、MafF mRNAの発現増加より炎症反応惹起が考えられた。
本研究では、覚醒剤投与に身体拘束が加わると相加・相乗的に心臓に影響する可能性が示された。つまり、覚醒剤投与が心筋障害を惹起し、さらに身体拘束が過度の血管収縮、RAA系亢進を介して循環動態に影響を与えることが考えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Methanphetamine protects against stress-induced gastric mucosal lesions in miice2009

    • 著者名/発表者名
      Tomita M, Okuyama T, Nata M, et al.
    • 雑誌名

      Legal Medicine 11 Suppl

      ページ: 437-439

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pulmonary fat embolization as a diagnostic finding for heat exposure2009

    • 著者名/発表者名
      Inoue H, Ikeda N, Tsuji A, Kudo K, Hanagama M, Nata M
    • 雑誌名

      Legal Medicine 11

      ページ: 1-3

    • 査読あり
  • [学会発表] 覚醒剤及び身体拘束の心臓における遺伝子発現への影響2009

    • 著者名/発表者名
      篠根光太郎, 富田正文, 那谷雅之, 井上裕匡, 伊藤真弓
    • 学会等名
      第93次日本法医学会学術全国集会
    • 発表場所
      大阪、千里ライフサイエンスセンター
    • 年月日
      2009-05-14

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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