研究課題
亜ヒ酸(三酸化ヒ素:ATO)は毒性元素として知られる一方、抗がん剤として用いられ、難治性・抵抗性急性前骨髄球性白血病(APL)患者に有効であることが報告されている。ATO投与後の小児APL患者におけるヒ素代謝を明らかにするため、尿中ヒ素化合物を分析したところ、成人患者に比較して小児ではヒ素の代謝能が低い可能性を明らかにした。また8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG)は活性酸素種によるDNAダメージにより生じるが、尿中8-OHdG濃度は尿中dimethylarsinic acid濃度と正の相関関係が認められた。また、ヒ素に曝露したベトナム人における尿中8-OHdG濃度とDNA修復酵素であるhOGG1(humanoxoguanine glycosylase1)Ser326Cys遺伝子多型とapurinic/apyrimidinic endonuclease(APE1)Asp148Glu遺伝子多型の関連について調査を行ったところ、hOGG1Ser326Cys多型についてCys/CysではSer/CysおよびSer/Serに比べ有意に高かった。またAPE1Asp148GluについてAsp/GluはAsp/Aspに比べ有意に高いことが明らかになった。本研究からこれらの変異を有する人では酸化ストレスを強く受けやすいことが示唆された。今後は、ヒ素代謝に関わる酵素のみでなくDNA修復酵素についても考慮する必要があると考えられる。
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