研究課題/領域番号 |
21590744
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
佐藤 啓造 昭和大学, 医学部, 教授 (20162422)
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研究分担者 |
李 暁鵬 昭和大学, 医学部, 講師 (90245829)
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キーワード | フェンタニル / デザイナー・ドラッグ / GC,GC / MS / α-メチルフェンタニル / 微量代謝物 |
研究概要 |
麻薬摂取の証明には麻薬の化学構造を反映した代謝物を尿中から検出・同定する必要がある。α-メチルフェンタニルは乱用されるフェンタニル関連デザイナー・ドラッグの1つであるが、主要代謝物は化学構造を反映しておらず、最近、構造を反映する4つの新しい微量代謝物の存在が報告されたものの、定量法については報告されていない。今年度はα-メチルフェンタニルをフェンタニルから化学合成し、ガスクロマトグラフ(GC)で定量する方法をまず確立した。次に、GC/質量分析法(MS)で同定する方法を開発した。その上でα-メチルフェンタニルをラットに経口投与し、その尿を経時的に採尿してα-メチルフェンタニルの化学構造を反映する4つの微量代謝物の尿中排泄量をGC/MSで測定することにより明らかにした。その結果、新しく発見された4つの微量代謝物は投与後24時間にP-芳香環水酸化α-メチルフェンタニル(1.0%)、ωヒドロキシプロピオニルα-メチルフェンタニル(0.1%)、ω-1ヒドロキシプロピオニルα-メチルフェンタニル(0.1%)およびP-芳香環水酸化ωヒドロキシプロピオニルα-メチルフェンタニル(0.1%)が検出・定量された。これらの微量代謝物は投与後48時間までに完全に排泄され、代謝物の総排泄量の2-3%を占めた。ラットの結果をそのままヒトに応用することはできないが、今年度開発したGC/MSによる4つの微量代謝物の定量法はヒトの検体にも応用可能と推定され、協力研究者 鈴木真一氏の所属する科学警察研究所で分析された余剰検体の提供を受け、ヒトの実際例での有用性を今後、明らかにしたいと考えている。 なお、本研究の要旨はForensic Sclence International 195巻、68-72頁、2010で発表した。
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