研究課題
α-メチルフェンタニルは乱用されるフェンタニル関連デザイナー・ドラッグの代表的な薬物であるが、主要代謝物は薬物の化学構造を反映しておらず、化学構造を反映した4つの微量代謝物を一昨年度の本研究で特定した。昨年度は4つの微量代謝物のGC/MSによる定量法と固相抽出法を確立した。本年度はHPLC/MS-MSによる定量法の確立を目指したが、東日本巨大地震による節電のためHPLC/MS-MS分析の再現性、安定性が悪く、未だ4つの微量代謝物についてはLC/MS分析が確立できていない。そこで、本年度は昨年度確立した4つの微量代謝物の固相抽出法、すなわちベッドボリュームの小さいミクロ固相抽出法を用いて4種類のフェノチアジン系向精神薬の代謝物のLC/MS分析法の確立を目指した。倫理委員会の承認を得たうえで、2名の精神科入院患者の本人および保護者から同意を得て、通常の血液理化学検査終了後の血清を廃棄することなく、提供を受け、本研究に用いた。まず、通常のESI方式のLC/MS分析を行ったところ、MH^+イオンしか検出できず、代謝物の同定は困難であった。そこで、FAB方式のLC/MS分析を行ったところ、ベースピークとしてのMH^+イオンのほか、同定に役立つフラグメントイオンが適当量得られることが分かった。患者の血清を昨年度確立したミクロ固相抽出法で抽出し、LC/FAB-MS分析を行ったところ、クロルプロマジン、レボメプロマジン、プロメサジン、プロペリシアジンの未変化体のほか、代謝物である酸化体とデスメチル体が検出、同定できた。本研究の要旨は医学と生物学第156巻、128-139、2012およびJ Chromatogr A 1218巻、2521-2527、2011で発表した。今後、α-メチルフェンタニルの使用を証明する4つの微量代謝物のHPLC/MS-MS分析法を完成させたい。
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