研究概要 |
本年は、極性の異なる有機リン化合物とカーバメイト系化合物を血清から同時に抽出し迅速に同時分析を行うことを検討した。有機リン化合物による中毒は、臨床症状からある程度は推測が可能であるが、カーバメイト系化合物も有機リン中毒と同様の症状を呈する。しかし、有機リンに対する拮抗薬はカーバメイト系には無効であることから、拮抗薬の投与を考えると機器分析によって起因化合物を特定するのが最も有効である。 本年度は、極性の異なる有機リン化合物とカーバメイト系化合物、計16種類の化合物を血清から同時に抽出して液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MSMS)で分析する方法について検討を行った。前年度までの研究結果から、TiO-C_<18>もしくはC-C_<18>を組み込んだモノリススピンカラムによって抽出が行えると考えていた。実験を行った結果、アセフェート等の親水性有機リンはTiO-C_<18>では抽出が不可能であった。一方、C-C_<18>,を用いることによって、親水性、疎水性有機リン、カーバメイト系化合物が共に抽出可能であった、 そこで、C-C_<18>モノリススピンカラムを用いて、全16種類の抽出を行い、LC-MSMSによる分析を行った結果、すべての化合物は良好に分離分析された。次いで、バリデーションを行ったところ、検出限界は1-50ng/mlであった。直線性は低濃度と高濃度の検量線が得られ共に良好であった。回収率は11.9-99.2%と化合物によって差が認められたが日内及び日差変動は15%以内であり良好な結果が得られた。 本法を実際例の症例に応用したところ、有効性の確認ができた。
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