研究課題/領域番号 |
21590749
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
木下 博之 香川大学, 医学部, 教授 (00284357)
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研究分担者 |
飴野 清 香川大学, 医学部, 准教授 (50019626)
高橋 玄倫 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90509100)
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キーワード | アルコール / 薬毒物 / 体内動態 / 嗜好性 / グルココルチコイド / 個体差 |
研究概要 |
法医学の領域では、様々な薬毒物が取り扱う対象となる。それらの効果や行動能力に与える影響については、主に体内の濃度、特に血中濃度を指標として評価している。しかしながら、同じような血中濃度であっても、個体差を含む様々な要因により、実際の薬毒物の効果についてはばらつきがみられる。 法医学領域で取り扱う頻度の高いアルコールに関しては、薬毒物の効果に差がみられる要因として、実験動物を用いたこれまでの検討で、アルコール嗜好性と代謝能力の差(代謝物の血中濃度の差)が報告されている。アルコールの代謝については様々な要素が影響するが、グルココルチコイドの関与もあると言われている。そこで、この代謝能力と、嗜好性の差を生じる要因として同様に指摘されているグルココルチコイドについて、エタノール投与後の反応についての検討を行った。 アルコール嗜好性の異なるラット(HAP:高アルコール嗜好性ラット)と(LAP:低アルコール嗜好性ラット)を用いて、エタノール投与後の血中エタノール濃度と、ストレスホルモンの一種である、グルココルチコイド(コルチコステロン)の血中濃度について、2群に差が生じるか否かを検討した。エタノール投与後は、両群とも血中のコルチコステロン濃度は有意に上昇したが、アルコール嗜好性との関連は見いだせなかった。また、血中のエタノール濃度についても有意な差はなかった。少なくとも、今回用いたHAP/LAPのラットにおいては、嗜好性に与えるグルココルチコイドの影響は少ないものと考えられた。
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