研究課題/領域番号 |
21590749
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
木下 博之 香川大学, 医学部, 教授 (00284357)
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研究分担者 |
飴野 清 香川大学, 医学部, 准教授 (50019626)
高橋 玄倫 神戸大学, 医学部, 講師 (90509100)
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キーワード | 薬毒物 / 体内動態 / 中毒 / 医薬品 / 化学物質 / 病態 / 分布 / 農薬 |
研究概要 |
法医学の領域において対象となる化学物質は多岐にわたり、それらの効果や行動能力に与える影響についても併せて検討を進めてきた。これまでに法医学領域での取り扱い頻度が比較的多いエタノールおよびメタンフェタミン(覚せい剤)について、様々な生理機能に関与しているグルココルチコイド(コルチコステロン)に与える影響を基礎に、血中濃度の面から評価を行ってきた。 今年度の検討では、実際の法医剖検例での血液、消化管内容等の濃度測定を行い、さらに加齢による臓器機能の低下、アルコールや多種類の薬剤の併用による代謝阻害や代謝亢進といった薬物代謝系への影響を含む相互作用、肝障害など基礎疾患の関与する影響について解析を行った。さらに、従来の報告との比較し、それらの要因が薬物・毒物とその代謝物の体内動態に与える影響について検討した。その結果、多量投与の場合には、特に吸収過程において通常の場合と異なる体内動態をとること、そのため消化管内での残存量の評価が重要であること、さらに薬物の組み合わせにより相互作用が異なることなどが明らかになった。得られた結果は今後の鑑定例にも活用が期待される。 また、Wistar系ラットを用いた実験で、日本で汎用されている農薬のひとつアセフェートと代謝物メタミドホスの体内分布の検討を行った。アセフェートは水溶性の高い物質であるが、組織による分布は大きく異なり、服毒後の症状発現に大きく関与していることが示唆された。 これらの結果から、薬物の体内動態に与える影響については、特に大量投与の場合に吸収過程の影響が大きいこと、さらに基礎疾患や加齢による影響が個々の薬物・毒物で大きく異なることが明らかになった。吸収過程における体内動態についての解析は少なく、今後もさらに検討していく必要性が明らかになった。
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