研究課題
FUT2は多型に富んでいるが、これらは集団に特徴的な分布を示しているため帰属集団マーカーとしての有用性が示唆されている。今年度は、前年度の解析によってベトナム人集団に新たに見出した2つの一塩基多型(SNPs)についてハプロタイプ解析、ならびに産物であるα(1,2)フコ-ス転移酵素活性に与える影響について、培養細胞を用いた実験系と、in silicoの推定により解析をおこなった。その結果、いずれの多型も酵素活性に大きな影響を与えることが分かった。この結果は2つの解析法で矛盾が無く、用いたフリーソフトウェアは簡便に利用できる機能推定の有用なツールであると考えられる。一方、同座位には現在までに5種類の組換え体アリルが同定されており、遺伝子構造と局所的な配列から遺伝子組換えが起こりやすいことが示唆される。初年度に開発した比較C_T法によるFUT2のコピ-数多型(CNVs)検出法の活用により、昨年度新たな組換え体アリルを見出したが、同法ではFUT2の偽遺伝子であるSEC1の一部がFUT2に入れ替わったSEC1-FUT2-SEC1アリルの検出は不可能である。当該年度では、このようなハイブリッド遺伝子の検出を目的とし、SEC1とのduplexPCR法をデザインした。この方法により、ヨーロッパ人を祖先とする南アフリカ集団の1つのサンプルにハイブリッドアリルのヘテロ接合体を見出した。シークエンス解析の結果、このアリルは以前モンゴル人に見出されたSEC1-FUT2-SEC1とは配列を異にするアリルであることが分った。このアリルの同定により、FUT2座位組換えのホットスポット領域を狭めることができた。本法は信頼性が高く、簡便で多数検体を処理できるので、日本人のようにハイブリッドアリルの頻度が無視できない集団を対象とした関連解析にも有用な方法である。
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