研究概要 |
研究1.健常人における鍼刺激時の肘動脈血流量および心拍出量の検討 11名の健常者を仰臥位にし、両側の太衝穴(足背部)に鍼刺激を行った。鍼刺激は回転角90度以内の用手捻転とした。鍼は直径0.16mmのディスポーザブルステンレス鍼灸針を用いた。 血圧と心拍数を刺激前と刺激後180秒後に測定。心係数は、インピーダンス心拍出量計を用いて、測定した。橈骨動脈及び肘動脈の血行動態を、安静時、鍼刺激中、鍼刺激後30、60,180秒後に超音波診断装置を用いて測定した。血流量は超音波診断装置のエコートラッキングシステムを用いて測定した 鍼刺激中の橈骨動脈および肘動脈の血流量は、有意に刺激前に比して減少し、その後刺激前の値に戻って、更に刺激前よりも次第に増加してゆき、鍼刺激180秒後には鍼刺激前に比べて共に有意に増加した。心係数は、鍼刺激の前後で有意な変化を示さなかった。全身血管抵抗は鍼刺激後に減少する傾向が認められた。 研究2.開放隅角緑内障患者における鍼刺激時の眼動脈および網膜血流量の検討 3ヶ月以上にわたって典型的な薬物療法を受けている開放隅角緑内障患者12名22眼を対象とした。患者を仰臥位安静にした後、左右の攅竹、四白、太陽、足三里、三陰交、太衝、太谿、肝兪、腎兪、風池に、直径0.16mmのディスポーザブルステンレス鍼灸針を垂直に刺して15分間置針したのち抜針した。鍼には置針中なんらの刺激も加えなかった。超音波診断装置のカラードップラーを用いて、鍼刺激前後に眼球後部の血行動態を測定した、 網膜中心動脈および短後毛様体動脈において、鍼治療前に比して鍼治療後にresistive indexが有意に減少し、拡張期血流速度が有意に増加した。さらに、鍼治療後には眼圧が有意に低下した。
|