研究課題/領域番号 |
21590753
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関 隆志 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90372292)
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研究分担者 |
高野 忠夫 東北大学, 病院, 講師 (40282058)
大槻 健朗 東北大学, 病院, 助教 (40531330)
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キーワード | 鍼治療 / 血流量 / 東洋医学 / 評価指標 |
研究概要 |
健常人における太衝穴への鍼刺激時の上腸間膜動脈血流量および心拍出量の検討 我々はすでに、太衝穴への鍼刺激により、橈骨動脈及び上腕動脈の血流量が鍼刺激中に有意に減少した後に、鍼刺激3分後には鍼刺激前に比べて共に有意に増加することを報告した。太衝穴は四肢の冷え性を改善することが知られており、その機序の解明に結びつくと思われる。 今年度は、空調の整った部屋の室温を25-26度に保ち、20名の健常者を10分間安静仰臥位にしたのち、同じく両側の太衝穴(足背部)に鍼刺激を行い、上腸間膜動脈の血行動態を検討した。実験前10時間のアルコールやカフェインの摂取を避け、絶食とし、実験は午前中に行った。鍼刺激は回転角90度以内の用手捻転とした。鍼は直径0.16mmの鍼灸針(単回使用毫針)を用いた。捻転刺激後15分に抜鍼した。鍼刺入前、捻転刺激後3分、10分、20分、30分、60分に超音波診断装置(アロカ社;prosound α10)を用いて測定した。心係数は、インピーダンス心拍出量計を用いて測定した。 血圧、心拍数、全末梢血管抵抗係数および上腸間膜動脈の血流量は、有意な変化を示さなかった。捻転刺激後3分に心係数は鍼刺入前と比較して、有意に増加した(P<0.05)。 同じ太衝穴への刺激が、以前の実験では上肢の血流量を増加させることが明らかになった一方、今回の実験では、腸への血流量には大きな変化を与えないことが示された。このことは、伝統的に知られてきた経穴の特異性を生理学的に裏付けるとともに、血流量の評価が伝統医学の臨床効果の客観的指標となりうることを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災により被検者が死亡したため
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今後の研究の推進方策 |
今年度は東日本大震災により当初の計画の変更を余儀なくされ、また学会発表および論文発表も滞ってしまった。来年度は、その遅れを挽回する予定である。
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