研究課題
代替医療の治療手技の一つであるカイロプラクティックによる治療効果を科学的に分析するための臨床研究を実施した。頸部痛、肩こりがあるがそれ以外の目立った症状および他の疾患がない男性12名を対象として、ポジトロン断層法(PET)による測定を行った。測定に用いたトレーサーは、フルオロデオキシグルコース(FDG)であり、カイロプラクティック施術後と無治療待機時の安静状態の局所脳糖代謝を比較した。PET測定の前後に、主観的な痛みの自覚、ストレスの自覚について質問票を用いて調査した。また客観的指標として、心拍ゆらぎ解析による自律神経機能の変化、唾液アミラーゼ濃度測定によるストレス評価、頚部~肩にかけての筋硬度の評価を合わせて行った。本研究は東北大学大学院医学系研究科倫理委員会の承認を得て実施した。PET画像解析の結果、施術後の安静状態における脳糖代謝の亢進部位と低下部位が観察された。脳糖代謝亢進部位としては、前頭前野や帯状回などが観察され、脳糖代謝低下部位としては小脳虫部が観察された。同時に実施した主観的評価では、痛みの自覚が施術後に有意に軽減し、主観的ストレスの自覚も軽減していることが示された。客観的指標として実施した心拍ゆらぎ解析では有意な自律神経活動の差異が検出できなかったが、唾液腺アミラーゼでは施術後に有意にストレスが軽減していることが示唆された。全体としては、施術後には対象者がリラクゼーション状態にあり、それに対応して発生した脳内変化がPETで測定できたものと考えられた。今後は、さらに対象者数を増やして結果の安定性を評価することを予定している。
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