研究課題/領域番号 |
21590756
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
江頭 正人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80282630)
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研究分担者 |
飯島 勝矢 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00334384)
大田 秀隆 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (20431869)
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キーワード | eNOS / 脂肪細胞 / 脂肪酸 / メタボリック・シンドローム |
研究概要 |
老年疾患や個体の老化の基盤にある病態として、骨格筋量の低下とともに脂肪組織の相対的増大、機能障害、それに伴うインスリン抵抗性が重要であるが、その発症機序は不明である。本研究の目的は、脂肪細胞内に発現するeNOSの発現調節機構ならびに脂肪細胞機能制御における役割を、分子、細胞、組織、個体レベルにて明らかにすることである。我々は、培養脂肪細胞においてeNOSがその分化とともに発現することを見出した。一方で、nNOS、iNOSの発現はみとめ認められなかった。続いてeNOSを阻害することで脂肪細胞からの遊離脂肪酸の分泌が亢進することから、脂肪細胞内のeNOSが脂肪分解に対し抑制的に作用することを明らかにした。個体レベルにおいても検討を加えた。マウスの脂肪組織においてもeNOSが発現していること、高脂肪食負荷を加えた肥満マウスの脂肪組織においてeNOSの発現はむしろ低下すること、また高脂肪食負荷による肥満マウスに対し、通常食に戻したところ、肥満、代謝異常の改善とともに、脂肪組織eNOSの発現が回復することを見いだした。また肝臓におけるトリグリセリドの貯蓄量は、内臓脂肪組織からの遊離脂肪酸の分泌量と相関することが知られているが、脂肪組織内eNOS発現レベルと肝臓内トリグリセリドレベルが負の相関を示すこと、すなわち個体レベルにおいても脂肪組織内eNOSが脂肪分解に対し抑制的に作用することを示した。来年度はeNOSノックアウトマウスを用いて、脂肪細胞内eNOSの役割を検討する予定である。本研究を進めることにより、老年疾患に対する新たな治療標的を提供することが可能となると考えられる。
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