研究概要 |
佐賀大学医学部附属病院総合外来にて2009年6月~2010年2月に医学部医学科5年次生71名が受けた初診患者診療実習にて、指導医が研究対象としている評価手法を使って学生を評価した。各学生は、2週間の実習期間において1~10名の初診患者と医療面接を行い、メモに簡単にまとめた後、担当プリセプターに症例プレゼンテーションするよう指示された。担当プリセプターは佐賀大学医学部附属病院総合診療部の教員か所属医師であり、発表者が実施した評価方法に関するワークショップを受けた。学生のプレゼンテーションを聞いた直後、担当プリセプターは5段階のスコアを付け、学生にスコアを伝えることなくフィードバックした。信頼性は5人以上の患者を診た学生52名のみを対象とし、一般化可能性係数によって求めた。研究計画は佐賀大学医学部の倫理審査にて承認を受けた。延べ396症例のプレゼンテーションが行われ、平均は3.21で、3(情報は網羅されるが鑑別診断は考慮されていない)の評価が71.7%になされた。1週目と2週目ではそれぞれの評価の平均に差はみられなかった(U-test, p=0.14)。一般化可能性係数は0.64、学生による分散は全体の4.6%、教員による分散は全体の31.8%であった。教員によるバラツキの要因として、訓練不足、評価者に内在するstringency and leniency、患者を診る直前のワンポイント指導の差異が指摘された。 この内容については、2010年度日本プライマリ・ケア連合学会学術大会にて発表予定である。
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