研究概要 |
「医学生や研修医の臨床推論能力に応じた症例プレゼンテーション向上の段階モデル」は,佐賀大学附属病院総合外来における医学部5年次生に対する臨床実習において平成21~22年度に実際の指導に利用された.医学生は,実際の患者に対し指導医の監督の下で病歴聴取を行った.その後,医学生はメモに簡単にまとめた後,指導医に対して1~2分で症例プレゼンテーションする.これを予め決めた評価基準により指導医が5段階に評価した.評価法に一定の信頼性があることは平成21年度に確認されたため,平成22年度は現場で指導医がどのようにこのツールを受け入れるか,評価として妥当かの2点について,指導医に対するインタビューによって確認した. まず,この評価法により、鑑別診断と病歴聴取・症例プレゼンテーションが連動し、総合外来での鑑別診断に関する学習が促進されることが明確となった。このことから指導医はいずれも、この評価法は妥当と受け止めていた。一方、既診例、診断が目標でない例(健診異常など)では評価がしにくいためこの評価から除外した方がよいこと、評価に伴う指導手順の標準化をすべきこと、評価による学生の心的外傷の防止策が必要なことも示された。さらに、評価の観点に残る曖昧さ、学生間の差の際立たせ方は、検討が必要である。さらに、今回の研究は,大学病院でのみ実施されたが,この場の特殊性から生じる限界が大きい点にも注意が必要である。 この内容については、2011年度日本プライマリ・ケア連合学会学術大会にて発表予定である。
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