研究概要 |
〈具体的内容〉 継続して,佐賀大学附属病院総合診療部にて,医学部6年次性に対する,外来症例の症例プレゼンテーションを用いた臨床推論評価が行われた.その際,指導医がこの方法を用いることで様々な利点を感じていることが分かったため,指導医に対する深層インタビューを行い,評価,指導の二つのカテゴリーに関して,ポイントが明確となった.評価については,「観点の難しさ」、「学生間の差を表せないスケール」、「臨床推論以外の評価」、「症例の難しさによる除外規定」といった今後の課題が明らかとなった.また,指導については,「手順の明確化の必要性」、「実習の場としての大学病院の限界」、「内科領域以外の診断」といった課題が明らかとなった. 城北病院では,初期研修中の研修医に対し,定量的な評価を行った.研修医数は3名,指導医が7名,延べ111症例に対し,5段階の5が41%,4が48%であり,平均は4.17であった.一般化可能性係数が0.71と,一定の信頼性を示す値となった.症例の難易度は指導医によって容易,普通,難の3段階に分けられ,有意差はなかったものの,難易度が簡単な方が症例プレゼンテーションの評価点が高くなっていた.佐賀大学医学部6年次生のデータは,3.21であったため,研修医の方がはるかに高い値を示すことも示された.これら二つのデータは,いずれも2012年日本医学教育学会にて発表予定である. 〈意義〉 症例難易度とスコアの関係、医学生と研修医のスコアの違い、スコアの一般化可能性係数といった諸条件において、症例プレゼンテーションによる評価の概念モデルは妥当な変化をとっている。各研修医が30名程度の初診患者を診て、その症例プレゼンテーションを指導医が評価することで、一定の妥当性のある評価が可能と言える。 〈重要性〉 医学生や研修医に対する業務に基づく評価として,症例プレゼンテーションを用いた臨床推論評価が利用可能であり,臨床指導に有用である.
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