研究課題
一般住民における人生早期の被養育体験と中年期以降の慢性疼痛の関連【目的】慢性疼痛と人生早期の事故や病気、虐待などの嫌悪的体験との関連が報告されている。しかし、両親の養育態度と成人後の慢性疼痛発症のリスクについては十分に検討されていない。今回我々は、一般住民における人生早期の被養育体験と慢性疼痛の関連を検討した。【方法】福岡県久山町の40歳以上を対象とした健康診断でストレス健診を希望した760人で解析した。6か月以上持続する疼痛を有する者を慢性疼痛ありとし、被養育体験については、16歳までの親の養育態度を主観的に評価する質問紙であるParental Bonding Instrument (PBI)を用いて調査した。PBIの2つの因子である「ケア」と「過干渉」を説明変数、慢性疼痛の有無を目的変数とし、男女別にロジスティック回帰分析を行った。適切な養育とされている「ケアあり/過干渉なし」を基準として、年齢、教育歴、婚姻・経済的状況で調整した各カテゴリーのオッズ比を検討した。【結果】男性においてはPBIのカテゴリーの違いによる有意なリスクの増減は認められなかった。女性において、有意なオッズ比の上昇を認めた被養育パターンは、父親の"ケアなし/過干渉なし"(オッズ比2.07)、母親の"ケアあり/過干渉あり"(2.23)および"ケアなし/過干渉あり"(1.94)であった。【結語】一般住民の慢性疼痛の発症において、女性は被養育体験の影響を受けやすく、父親の養育への関与の少なさ、母親の過干渉が重要な要因である可能性が示唆された。
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http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K002525/research.html