研究課題
ストレス→中枢神経→交感神経系の過剰興奮により、たこつぼ心筋障害を起こすメカニズムと病態を明らかにするため、中枢神経系および心臓の両面から、ストレス負荷誘発モデル動物を用いて、以下の項目を検討した。ストレス負荷後のラットの心臓および大動脈のサンプルで、Microarray法で発現が変化する遺伝子群を網羅的に解析し、擬陽性を除くためRT-PCR法で選別し、さらにα受容体遮断薬あるいはβ受容体遮断薬前投与のサンプルでも解析した。心臓では主にβ刺激により37種類の遺伝子が、血管では主にα刺激により48種類の遺伝子発現が変化することが判明した。これらは転写因子、シグナル伝達関連因子、代謝、血管新生、ストレス応答に関するものであり、これらのほとんどはストレスに対してその影響を減ずるように作用していることが報告されており、これらの遺伝子応答はストレスに対する適応応答と考えられる(Heart and Vessels)。また扁桃体や視床下部を中心としたストレス応答の神経回路の検討を続けていて、扁桃体の亜核の相互連絡や求心路、扁桃体から視床下部の諸核への投射を検討した。扁桃体の各亜核には、より上位の辺縁系、および視床、視床下部、脳幹からの入力があるが、亜核間で相違があること、扁桃体内での相互連絡にも特徴があることを明らかにした(分子精神医学)。特に中心核と外側核は、他の亜核や下位の視床や脳幹の脚傍核からの入力が集まること、一方、内側核は、視床下部の各亜核へ遠心性の出力を行っていることを明らかにした(分子精神医学)。すなわち、ストレス→辺縁系→扁桃体→特に内側核→視床下部→自律神経系、神経内分泌系→心血管系という流れを示すことができた。
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Heart and Vessels
巻: 26 ページ: 321-337
分子精神医学
巻: 11 ページ: 8-13
自律神経
巻: 48 ページ: 120-121
心身医学
巻: 5 ページ: 879-884