本研究は超高齢者の心身の健康、QOLに資する要因を医学領域、心理社会学領域、環境領域から多面的に研究する包括的疫学調査において、特に超高齢者のCKDの評価法とその臨床的意義に焦点を当て検討する3年間の前向きコホート研究である。平成21年度は85歳以上高齢者の磯調査を行い、500名のコホートを確立することを目標としたが、この年代の調査がわが国にはほとんど行われていなかったこと、世界的な社会の高齢化に対る関心が高まっていることなどから本調査への国民の期待が大きく、新聞(東京新聞、地方新聞)に関連記事が掲載されるなどの効果もあり、目標を上回る542名の基礎調査を完了した。85歳以上高齢者の疫学調査は海外でも近年さかんになってきているが、ほとんどの調査が高齢者の自宅で行う訪問調査であり、高度な医療機器を使った測定や歯科調査は行われていない。本研究では調査会場である病院と高齢者自宅までの送迎を確保したことにより参加者542名のうち、460名が病院で調査を受けることができた。これにより、世界で初めてこの年代の頚動脈エコー法による動脈硬化評価、歯科医による詳細な口腔機能評価に成功し、平成22年以降、この解析を進める。 本研究は85歳以上の一般住民を病院で調査した点、歯科、心理学者、老年医学が共同して包括的な評価を行った点が画期的であり、方法論(Study protocol)についての論文を投稿中である(BMC Geriatrics)。
|