研究課題/領域番号 |
21590782
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研究機関 | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
中村 昭範 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 脳機能画像診断開発部, 室長 (00237380)
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研究分担者 |
吉山 顕次 大阪大学, 大学院・医学系研究科・精神医学教室, 助教 (20426498)
文堂 昌彦 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 脳機能画像診断開発部, 室長 (10426497)
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キーワード | アルツハイマー型認知症 / 治療モニタリング / 脳磁図 / 聴覚中潜時誘発反応 / 安静時自発脳波活動 / シータ波 / アルファ波 / 脳血流SPECT |
研究概要 |
本研究の目的は、脳の神経ネットワークの機能を電気的活動として安全かつ鋭敏に捉えることができる電気生理学的手法を用いて、認知症の治療モニタリングに役立てていくための方法を確立することである。本年度は、アルツハイマー型認知症(AD)の電気生理学的バイオマーカー候補を網羅的に探索し、更に、脳血流SPECTと組み合わせてその意義を検討した。臨床的にADと診断された患者24名、及び高齢健康ボランティア(ctrl)17名を対象に、安静時の自発脳磁場活動、及び聴覚Oddball課題に対する誘発脳磁場を記録した。(1)自発脳磁場は、高速フーリエ変換を用いて周波数解析を行い、θ波とα波のパワー、主要周波数、及び左右半球間のcoherenceを求めた。聴覚誘発磁場は、聴覚中潜時反応(MLR)、N100反応、及びミスマッチ反応の振幅を求めた。これらの脳磁図データ成分についてADとctrlで群間比較を行った。(2)IMP-SPECT検査も行ったAD患者16名については、各脳磁図成分と局所脳血流量(rCBF)との相関をSPM5を用いた回帰分析によって検討した。その結果:(1)脳磁図単独解析:AD群でctr1群に対して有意(p<0.05)な変化を示した脳磁図成分は、α波のslowing、α波の左右Coherenceの低下、及び、ML、R振幅の増大であった。(2)SPECTとの相関:上記のファクターはいずれも後部帯状回及び頭頂葉のrCBFと正(α波のslowing及びcoherence)もしくは負(MLR)の相関が認められた。これらの脳部位はAD患者でrCBF低下を示す典型的な部位であると同時に、AD患者や、その発症前の段階で機能低下がおこるとして最近注目されている「Default network」の一部でもあることより、脳磁図はADの病理によって生じる脳の特定ネットワークの機能変化を反映するマーカーを捉えるのに有望であると考えられた。
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